腸内フローラは健康体質のパラメーター

投稿日: カテゴリー: コラム

年齢を重ねると“昔より太りやすくなった”という声を耳にすることがあると思います。実はこの体質の変化は『腸内フローラの変化』が原因かもしれないのです。年齢とともに体は変化していきます。しかし腸内環境は日常生活の中で意識すれば年齢を重ねても、良い状態でキープすることができます。

近年、技術の進歩とともに腸内フローラの謎が解明され、健康との関わりが続々と報告されています。今、世界中で大注目の『腸内フローラ』について、2回に分けてご紹介します。今回は「デブ菌・ヤセ菌」についてです。

 

■ そもそも腸内フローラとは?

私たちヒトの腸には100兆個以上もの細菌が存在していて、腸内に住み着いている様子が“お花畑(フローラ)”のように見えるため『腸内フローラ』と呼ばれています。この腸内フローラはヒトの消化を助けたり、ヒトが作れないビタミンなどを作ったりと、私たちの健康に大きく関わっています。つまり腸内フローラを健常に保つことは、健康にとって非常に重要なのです。

 

■ 太りやすい体質にする腸内フローラ

Washington 大学の Jeffrey Gordon 教授が太っている人と痩せている人で腸内フローラが異なることを発見しました。いわゆる“デブ菌・ヤセ菌”というものの存在が明らかになったのです。

肥満の人はデブ菌の存在量が多く、痩せている人はヤセ菌の存在量が多いことが分かってきています。このデブ菌とヤセ菌の存在量のバランスが“太りやすさ”に影響しているのです。

デブ菌はヒトが消化できないものを分解する能力が高く、“消化を助ける”という点では非常に有用な菌です。しかしながら、食生活が豊かになりすぎた現代社会においては、栄養の吸収を促進しすぎてしまうことがあり、結果として太りやすさに影響しているのです。

一方、ヤセ菌は“短鎖脂肪酸”を出す菌で、この短鎖脂肪酸には“脂肪の蓄積を抑制する作用”があります。結果として、ヤセ菌によって“太りにくく”なるのです。

デブ菌・ヤセ菌はどちらもヒトが健康に生きていく上で、なくてはならない大切なパートナーです。したがって、その人の生活習慣に合わせて、デブ菌・ヤセ菌のバランスを整えてあげることが重要なのです。

 

■ ヒトとフローラのこれから

大手製薬会社の中には腸内細菌そのものを薬にできないかと研究を進めていたり、健康な人の腸内フローラを移植するという治療法が検討されています。今後、『腸内フローラ研究』がますます世の中に還元されていくでしょう。

腸内フローラは食物繊維やオリゴ糖によって整えることができます。例えば野菜や果物を意識して摂取するだけでも、腸内フローラには良い影響があります。

みなさまも健康に活き活きと暮らしていくために、“腸内フローラ”というものを少し意識してみて、体質改善してみてはいかがでしょうか。

次回は「美肌菌」についてご紹介します。

【参考文献】Ley, R.E. et al.: Nature, 444:1027-1031, 2006

 

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筆者紹介:

株式会社桃谷順天館 桃谷総合文化研究所 研究員 松田達也

大学院では農学研究科で分子生物学を専攻。
入社後は、腸内フローラなど「ヒトと細菌との共生」に着目した研究を行っている。

株式会社桃谷順天館HP はこちら
http://www.e-cosmetics.co.jp/