起業へのソフトランディング

投稿日: カテゴリー: コラム

私は石川県で50歳過ぎの人を対象に、起業による生きがいや・働きがいのあるセカンドキャリア(第二の人生)の実現の支援を行っています。50+(フィフティプラス)とは、米国では、50歳過ぎの子育てが終わって自分のやりたいことができる世代を指すとのことで、この言葉を使っていますが、50代から仕事とパラレルで起業準備を進めておくことを、起業へのソフトランディングのためにお勧めします。

 

■ 50代起業のいい点

50代の起業のいい点として、下記のことが挙げられます。 (参考資料1)

  • 若い人に比べ経験や知識、人脈が多いこと。
  • 子どもが既に独立しているまたは子どもの独立(卒業)までに必要な教育費や生活費の予測が可能であり、若い世代よりも蓄えがある。
  • 会社の選択定年(早期退職優遇)制度などの利用が可能

 

■ パラレルキャリアの活用

30年と言われる企業の平均寿命より、職業人生が長くなったと言われる今、第二の人生を準備することがより必要になったといえます。ドラッカーは、著書「明日を支配するもの」のなかで、第二の人生を始める方法として、次の3つの方法を上げています。

  • 転職等により第二の人生を持つ(キャリアの転換)
  • 上手く行っている仕事を続け第二の仕事を持つ(パラレルキャリア)
  • 篤志家(ソーシャル・アントレプレナー)になる

 

久恒啓一氏(多摩大学副学長)は、著書「図解で身につく!ドラッカーの理論」のなかで、本業の他に趣味を持つことやボランティア活動を始める段階をトランスキャリア、その趣味やボランティア活動が拡大し本業と同じ程度の段階をパラレルキャリア、さらに成長し本業を超える段階をチェンジキャリア(本業の転換)としています。

複業を認める企業が増えるなか、一度にキャリアの転換を図るよりも、パラレルキャリアの考え方を取り入れることで、キャリアの充実と転換のリスクを抑えることができます。起業をするうえでも、この考え方により、起業に向けて自分の強みや興味のあることを伸ばすことや起業に関係のある業務に関わることで、起業へのソフトランディングができるといえます。

 

■ なぜ、再雇用や転職でなく起業なのか   (参考資料2、3、4)

私は53歳のときに、「今ならまだ、リタイアするまでに新しい仕事でも再雇用の期間を入れて10年間、働くことができる」との想いから転職をしました。新しい勤め先で定年が視野に入るにつれ、仕事に対する自分の思いと会社から期待されていると思うレベルのギャップを感じるようになり、また、モラルの低下を会社から気にされながらも仕事をすることに疑問を持つようになりました。

さらに、再雇用で働く先輩を見ながら、再雇用されても、どんな仕事をするのか分からない不安と新しい仕事に就いた場合に仕事を覚えるための精神的負担のことを実感するようにもなりました。そして、このような不安を持ちながらも、再雇用の給与が、現在の半分にもならないのなら、自分がやりたいことをした方が充実感を得られると思うようになり、起業を決意しました。

起業に関する計画を立てているときに、税理士法人の経営者から経営に携わって欲しい、いずれは経営をバトンタッチしたいと乞われ、予定より1年ほど早めに退職し、税理士法人で組織改革等のプロジェクトを進めましたが、経営者との思いとの相違から、結局1年の区切りで退職し、2015年6月に開業しました。

転職をするとしても、マッチングに時間が掛かったり、本人と雇用者の想いが私の場合のように一致するとは限りません。また、働き方は雇用先の体制に合わせることになり、起業による魅力の「自分のワークスタイルに合わせた働き方」が難しいといえます。

起業の場合、ゼロから仕事を始めると想像されがちですが、長い会社員時代に培った人脈とノウハウで企業(お客様)と顧問契約やアドバイザー契約という仕事をすることも可能です。複数企業と契約を結べば、そこそこの収入が期待できます。資本も設備も不要な働き方の起業も選択肢の一つです。

 

再雇用や転職ではなく「起業」という選択肢について、以下に資料をいくつかご紹介します。参考にされてはいかがでしょうか?

 

【再雇用や起業に関する参考資料】

<参考資料1>

60歳以上の割合は年々高まる一方で、若者の起業希望者及び起業家の割合が減少している。シニア層は若者に比べて自己資金が豊富であり、社会経験を蓄積しているとともに、退職後も何らかの形で働き続けたいと希望する者が多い。
その一つの選択肢として、起業を選ぶ者が存在するため、シニア層は起業の動機が明確であり、かつ、その意欲も高いと推察される。(2014年 中小企業白書より)

 

<参考資料2>

ホワイトカラー高齢社員の活躍に向けた2つの課題

(1)定年前からの意欲の維持・向上

自社の高齢社員に関して現在生じている問題としては、「再雇用後の処遇の低下・役割の変化等により、モチベーションが低下」(53.4%)しているとの回答が最も多い。
接続期に一度低下したモチベーションを高齢期に再度引き上げるのは容易ではない。

(2)社内外における活躍の場の確保

今後(5年程度で)生じる可能性のある問題として「自社において、活用する職務・ポストが不足」と回答した企業が約6割に達している。ホワイトカラー高齢社員の今後の増加を見据え、従来の配置先にとどまらず、新たな活躍の場を創出していくことが喫緊の課題となっている。

※60 歳定年制の下で55~59 歳を「接続期」、60 歳以降を「高齢期」、60 歳定年後、継続雇用を選択した「高齢期」(60~65 歳)の継続雇用者を「高齢社員」と呼称 (経団連「ホワイトカラー高齢社員の活躍をめぐる現状・課題と取組み」より)

 

<参考資料3>

退職を間近に控えた時期ではなく、もっと前から、退職後の職業選択の一つとして、起業という道があることを知ってもらうような積極的な取組が必要と考えられる。
実際、民間企業においても、40代後半や50代の職員向けに第二の入生(セカンドライフ)についてのセミナーや説明会を催すことが増えたといわれており、第二の人生(セカンドライフ)には「起業」という選択肢もあることを、社会全体で伝えていくことが必要ではないだろうか。(2014年 中小企業白書より)

 

<参考資料4>

我が国の開業率は欧米の半分程度(5.2%)にとどまっており、特に地域における開業率は低迷しています(大都市圏以外の29府県が平均を下回る)。また、中小企業数は平成11年の484万社から、平成26年は381万社へと減少し、従業員数も減少しています。

こうした状況の中、民間活力を高めていくためには地域の開業率を引き上げ、雇用を生み出し、産業の新陳代謝を進めていくことが重要です。(中小企業庁・総務省 平成29年8月「産業競争力強化法における市区町村による創業支援」のガイドラインより)

 

※関連セミナー「再雇用・転職ではなく起業という選択肢」を6月16日に開催します。
詳しくはこちらをご覧ください。 セミナー案内

 

筆者紹介:

50プラス起業ネットワーク石川 代表 小嶋久之

会計事務所、経営コンサルタント会社及び金融機関での仕事や転職の経験を活かし独立。
資格 一般社団法人日本経営士会 経営士(経営革新等支援機関・経営支援アドバイザー)

50プラス起業ネットワーク石川 のサイトはこちら
https://www.50plus-network.jp/

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